GLOSSARY / 性能・物理
COR(反発係数)
Coefficient of Restitutionボールが衝突して跳ね返る勢いを、衝突前の勢いで割った数値。1に近いほど反発が大きい。
0〜1の範囲を取る無次元の指標。1ならエネルギー損失ゼロの完全弾性衝突、0なら完全に止まる衝突。ゴルフクラブのフェースとボールの間では、ふつう0.8前後が出る。
USGA・R&Aは1998年からドライバーのCORに上限0.830を設定。これ以上は「ホットフェース」として違反になる。多くの競技向けドライバーはこの上限に近い設計とされているが、すべてのモデルが上限値で設計されているわけではない。
アイアンには直接のCOR規制はないが、代わりにCT値(特性時間)による規制が設けられた。Equipment Rulesはこの規制の基本上限値を239マイクロ秒、測定許容差を18マイクロ秒と定めており、実務上は合計257マイクロ秒として語られることがある。この数値は適合判定上の基準であり、性能の推奨値や目標値ではない。CT値(特性時間)はCORとは異なる計測手法に基づく概念であり、両者は関連するが同義ではない。
RELATED TERMS ─ 関連用語
VFT(可変肉厚)
フェースの厚みを場所によって変える設計。中央を薄く、周辺を厚くする。
ミート率
ボール初速 ÷ ヘッドスピードで求める比率。日本語では「ミート率」と呼ばれることが多い。1.5という値はCOR規制の結果として理論上の上限になるが、smash factor自体に直接の規定値はない。
打ち出し角
インパクト直後にボールが水平面から飛び出す角度(単位:度)。カタログ表記のロフト角(スタティックロフト)とは異なり、実際のインパクト時のダイナミックロフト・アタックアングル・シャフト挙動によって変わる。
ボール初速
インパクト直後にボールが飛び出す速度(単位:m/s)。スマッシュファクター(ミート率)の分子にあたり、飛距離と関係する計測値のひとつ。高ければ必ず飛ぶわけではなく、打ち出し角・スピン量との組み合わせで弾道全体が決まる。
適合クラブ
R&AとUSGAが定めるEquipment Rules(用具規則)の基準を満たしたゴルフクラブのこと。適合クラブであることは、すべての競技で常に使用できることを自動的に意味するわけではなく、競技によってローカルルールが追加される場合がある。非適合クラブは競技使用時にペナルティの対象となる場合があるが、練習やカジュアルなラウンドではペナルティは発生しない。
フェース素材
ゴルフクラブのフェース部分に使われる素材全般。チタン系・ステンレス系・マレージング鋼・複合材系など複数の素材カテゴリがあり、強度・重量・加工性・コストの特性がそれぞれ異なる。素材が変わると設計の選択肢が変わるが、素材単独でパフォーマンスが決まるわけではない。
スプリングライクエフェクト
ゴルフクラブのフェースがインパクト時にばねのように撓み、弾き返す現象を指す概念。R&AとUSGAの用具規則(Equipment Rules)はこの現象に関して規制を設けており、その評価には別途定められた測定・判定の概念が用いられる。
CT値(特性時間)
ゴルフクラブのフェースとボールの接触時間を測定し、反発性能の適合判定に用いられる概念。R&AとUSGAの用具規則(Equipment Rules)はCT値の適合基準を定めており、基本上限値239マイクロ秒に測定許容差18マイクロ秒が設けられている。この数値は性能の推奨値や目標値ではなく、適合判定上の上限である。
RELATED MATERIALS ─ この用語が登場する素材
REFERENCED BY ─ この用語を参照している用語
中空構造
ヘッド内部に空洞(キャビティ)を持たせた構造。フェースを薄くしてたわみを大きくしつつ、余剰重量を周辺に配置して高MOIと高初速を両立する設計手法。
フェースカップ
フェース周縁まで一体的に設計した構造を指す一般概念のひとつ。フェース周辺のたわみ方を設計する考え方として複数のメーカーが採用しているが、名称・構造・設計意図はメーカーごとに異なる。
ロフト角
フェース面とシャフト垂直線のなす角度のこと。番手ごとの値はメーカー・モデルによって異なり、業界共通基準は存在しない。
中空アイアン
フェースとボディの間に空洞(中空)を持つアイアンの構造。フェースを薄く設計して高反発を確保しながら、内部ウェイトで重心も調整できる設計アプローチ。
SpeedFoam / 充填材
中空アイアンやドライバーの空洞内部に充填する素材の総称。テーラーメイドはSpeedFoam・SpeedFoam Airという名称を使用。余分な振動を減衰させて打感を改善しながら、フェースの反発性能への影響を最小化する役割を持つ。
マレージング鋼
マルテンサイト時効鋼(MArtensitic + AGING = maraging)。低炭素・高ニッケル系の析出硬化型鋼で、ステンレス鋼とは別の鋼種。時効処理によりNi₃MoやNi₃Ti等の金属間化合物が析出して高強度化する。ゴルフでは薄肉フェース設計に活用されることがある。
スピン量
ボールの回転速度(単位:RPM=毎分回転数)。主にバックスピン量として扱われる。ドライバー・アイアン・ウェッジで求められるスピン量は大きく異なり、単純に多い・少ないで良し悪しは決まらない。
ヘッドスピード
インパクト直前のクラブヘッドの速度(単位:m/s)。弾道測定器などで表示される代表的な指標のひとつ。日本では「ヘッドスピード」、弾道測定器では「club speed」と表示される場合もある。速ければ必ず飛ぶわけではなく、ボール初速・打ち出し角・スピン量との組み合わせで飛距離が決まる。
用具規則
R&AとUSGAが共同で発行する、ゴルフ用具の適合要件を定めた規則文書の通称。クラブ・ボールの形状・寸法・性能に関する技術的な基準が定められており、JGAはこれに準拠する立場をとる。
ヘッド体積制限
ゴルフの用具規則が定めるクラブヘッドの体積に関する規制。ドライバーヘッドには体積の上限(460cc / 28.06立方インチ)が設けられている。この数値は規制の上限値であり、性能の推奨値や目標値を示すものではない。
高反発規制(SLEルール)
フェースの反発(トランポリン効果)を制限するUSGA/R&Aの規則。反発係数COR上限0.830、現在はCT(特性時間)239µs+公差18µs(=257µs)で測定する。