ゴルフのしくみ

MATERIAL SPEC / S20C / S25C

軟鉄(低炭素鋼)

Low Carbon Steel

炭素含有量0.2〜0.25%の最もシンプルな鋼。鍛造アイアン・ウェッジの定番素材で、「打感」を生む素材として君臨する。強度ではなく、加工性と振動特性のために選ばれる。

TENSILE STRENGTH ─ 引張強度

410MPa

マレージング鋼の約1/4以下。なのにプロが選ぶ理由は?

MPa/メガパスカル。素材を引っ張ったときの「強さ」を表す単位。

↑ 大きい強い。薄く削っても切れない=フェースを薄くして飛ばせる。

↓ 小さい弱い。同じことをすると簡単にひび割れる。

TENSILE STRENGTH ─ 引張強度比較

軟鉄 S20C鍛造アイアン・プロモデル
410
アルミ合金 A7075航空機構造材
570
チタン Ti-6Al-4Vドライバーボディ
950
17-4 PH ステンレス鋳造アイアン
1,310
マレージング鋼飛ぶアイアンのフェース
1,900

単位:MPa

CHEMICAL COMPOSITION ─ 化学組成

Fe
99%ベース母材
Mn
マンガン
0.45%脱酸・粘り強さ
Si
ケイ素
0.2%脱酸

※ S20Cの代表組成(C 0.18-0.23%)

KEY PROPERTIES ─ 主要物性

引張強度

410MPa

高COR設計には不向き

硬度

75HRB

柔らかく加工しやすい

密度

7.85g/cm³

鉄の代表値

鍛造温度

1,200

赤熱状態で叩いて成形

WHY USE IT IN GOLF ─ なぜプロは弱い軟鉄を選ぶのか

01

鍛造で結晶が緻密化

赤熱状態で叩くことで結晶粒が微細化し、内部の組織が均質になる。これが「打感の良さ」の正体 — 高周波振動が早く減衰する。

02

加工自由度が高い

ロフト・ライ角を後から微調整できるのは軟鉄だから。プロが自分のスイングに合わせて「曲げる」のは、この素材の柔軟性のおかげ。

03

メッキで表面処理

クロム・ニッケル・銅メッキで耐食性と質感を後付けできる。鏡面・サテン・ブラック・銅イブシなど多彩な仕上げが可能。

UNIT GLOSSARY ─ このページで使った単位

数値が大きいほど・小さいほど何が変わるかを、中学校の理科レベルで噛み砕きます。

MPa

メガパスカル。素材を引っ張ったときの「強さ」を表す単位。

↑ 大きい強い。薄く削っても切れない=フェースを薄くして飛ばせる。

↓ 小さい弱い。同じことをすると簡単にひび割れる。

EXペットボトルのキャップ ≈ 30/一般鋼 410/マレージング鋼 1,900

HRB

ロックウェル硬度Bスケール。HRCより柔らかい素材の硬さを表す。

↑ 大きい比較的硬く、変形しにくい。

↓ 小さい柔らかい。職人がロフト・ライ角を「曲げて」調整できる。

EX銅 ≈ 55/軟鉄 75/鉄丸棒 90

g/cm³

1cm³(角砂糖1個分の体積)あたりの重さ。素材の「重さの度合い」。

↑ 大きい重い。同じ大きさでもズシリと感じる。

↓ 小さい軽い。同じ大きさでも持ち上げやすい。

EX水 1.0/人体 0.95/鉄 7.85/タングステン 19.3(地上で最も重い金属の一つ)

セ氏温度。「素材が溶ける温度(融点)」や「使用上限温度」を表す。

↑ 大きいより高温まで耐える。鍛造・成形の選択肢が広がる。

↓ 小さい低温で溶ける/劣化する。使える環境が限られる。

EXエポキシ樹脂 180(CFRPの上限)/鉄 1,538/タングステン 3,422(金属で最高)

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