ゴルフのしくみ

GLOSSARY / 金属組織・強化

SP-700(チタン合金)

SP-700 Titanium Alloy

JFEスチール(JFE Steel)の登録商標であるα+β型チタン合金。組成はTi-4.5Al-3V-2Fe-2Mo。Ti-6Al-4Vとは組成・特性が異なる別合金で、冷間成形性に優れるとされる。ゴルフでは一部メーカーがフェース材として採用することがある。

SP-700はJFEスチール(JFE Steel Corporation)の登録商標であるチタン合金です。組成はTi-4.5Al-3V-2Fe-2Mo(アルミニウム4.5%・バナジウム3%・鉄2%・モリブデン2%を含む)で、α+β型チタン合金に分類されます。アルミニウム(Al)がα相を安定化し、バナジウム(V)・鉄(Fe)・モリブデン(Mo)がβ相安定化元素として機能します。JFEスチールの公式製品情報として組成・特性値が公開されており、製造元が明確な合金です。

SP-700はTi-6Al-4Vと同じα+β型に分類されますが、組成が異なる別のチタン合金です。SP-700にはFeとMoが含まれており、β安定化元素の割合がTi-6Al-4Vより高くなっています。強度は条件によってTi-6Al-4Vより高くなる傾向があるとされますが、加工法・熱処理条件によって変動します。また冷間成形性(低温でのプレス成形のしやすさ)がTi-6Al-4Vより優れるとされており、薄板の精密成形が求められるフェース材用途で検討される場合があります。「SP-700はTi-6Al-4Vより高性能」という単純な表現は、用途・加工条件を無視した言い方になります。

「DAT55G」は大同特殊鋼(Daido Steel)のチタン合金であり、製造元・組成がSP-700とは異なる別の合金です。同じ「高強度チタン合金」として同一視されることがありますが、互換品ではなく、カタログ記載の合金名を確認する必要があります。「β型チタン合金」という分類もSP-700には当てはまらず、SP-700はα+β型です。

ゴルフクラブではドライバー・フェアウェイウッドのフェース材として一部メーカーが採用する場合があります。高強度かつ冷間成形性に優れるという特性が、薄肉フェース成形において設計上の余地をもたらす場合があります。ただし採用モデル・採用時期・販売地域はメーカーの技術情報で確認する必要があり、「SP-700が使われているクラブは飛ぶ」という断定は、フェース素材だけでなくヘッド全体の設計・重心・肉厚など多くの要因を無視した表現になります。

RELATED TERMS ─ 関連用語

チタン

低密度・高耐食性・高比強度を持つ金属。ゴルフクラブでは主にドライバーヘッドの素材として使われるが、純チタンとチタン合金では性質が大きく異なる。

Ti-6Al-4V(チタン合金)

アルミニウム6%・バナジウム4%を添加したα-β型チタン合金(Grade 5)。密度約4.43 g/cm³・引張強度950 MPa前後。ドライバー・フェアウェイウッドのヘッド素材として広く使われるが、すべてのチタン製クラブに使われているわけではない。

α相・β相

チタン合金の中で原子の並び方が違う2種類の結晶構造。

密度

1cm³(角砂糖1個分の体積)あたりの重さ。単位は g/cm³。

比強度

引張強度を密度で割った「軽さに対する強さ」の指標。単位は MPa·cm³/g。

フェース素材

ゴルフクラブのフェース部分に使われる素材全般。チタン系・ステンレス系・マレージング鋼・複合材系など複数の素材カテゴリがあり、強度・重量・加工性・コストの特性がそれぞれ異なる。素材が変わると設計の選択肢が変わるが、素材単独でパフォーマンスが決まるわけではない。

DAT55(チタン合金)

大同特殊鋼(Daido Steel)が展開するチタン合金の一種。Ti-5Al-1Fe系として言及されることがあるが、組成の公開詳細はSP-700に比べ限定的。SP-700・Ti-6Al-4Vとは別素材であり、採用モデルはメーカーの技術情報による。