GLOSSARY / 金属組織・強化
軟鉄ボロン鋼
Boron Infused Steel微量のボロンを加えて強度を高めた軟鉄。ミズノが鍛造アイアンに用い、軟鉄鍛造(S25CM)より強く、クロモリ(SCM435)より軟らかい。
ミズノ公式のJPX S40製品ページは、軟鉄ボロン鋼(S25CB)を「『打感を追究する軟らかい素材と、反発を追求する強い素材』その両方を併せ持つのが軟鉄ボロン鋼」と紹介し、位置づけを「クロムモリブデン鋼(SCM435)よりも軟らかく、軟鉄鍛造(S25CM)よりも強い素材であるのが特徴」と明記している。硬さの序列を自社が使う3素材の間で示した相対的な定義であり、絶対的な硬度や強度の数値は示されていない。
米国ミズノ公式の「Art of Forging」ページでは同じ素材が Boron Infused Steel として扱われ、2014年に導入されたこと、そして「the smallest trace of boron to the steel mix increases its strength during manufacture, allowing Mizuno to create more complex one piece Grain Flow Forged irons」=ごく微量のボロン添加で製造時の強度が上がり、より複雑な一体鍛造ヘッドを作れるようになる、と説明されている。日本公式はS25CB/1025 BORON、米国公式は Boron Infused Steel と呼称が異なるため、日米で表記を混同しないこと。
素材としての狙いは「軟鉄は打感がよいが強度が足りず薄肉化しにくい」という制約を、微量添加で緩めることにある。実際にJPX S40 FORGED(2026年)の公式素材表記は本体がマイルドスチール(S25C)/ボロン鋼精密鍛造(1025 BORON)、ソール部がタングステン(#5〜7)となっている。ボロンの添加量、硬度(HRC等)、引張強さといった数値はいずれも公表されていない(undisclosed)。打感の評価は主観であり、公式が示しているのは自社素材どうしの相対位置だけである点に注意したい。
RELATED TERMS ─ 関連用語
鍛造
金属の塊を型に入れてプレスや打撃で成形する製法。内部組織が緻密になり、軟鉄アイアンの「やわらかい打感」の根拠になる。
S15C
アイアンヘッドに使われる軟鉄(炭素鋼)の一種。非常にやわらかく打感に優れる一方、打撃負荷による角度変化が懸念され採用が難しいとされてきた素材。
硬度
素材の表面の「変形しにくさ・傷つきにくさ」を表す指標。
引張強度
素材を引っ張ったときに「ちぎれる直前の力」を表す指標。単位は MPa。
マレージング鋼
マルテンサイト時効鋼(MArtensitic + AGING = maraging)。低炭素・高ニッケル系の析出硬化型鋼で、ステンレス鋼とは別の鋼種。時効処理によりNi₃MoやNi₃Ti等の金属間化合物が析出して高強度化する。ゴルフでは薄肉フェース設計に活用されることがある。